全方位レンズ

全方位レンズ

omnidirect_ex1.jpg監視カメラやロボットの視覚として使われている全方位レンズを知人から譲り受けました。このレンズ1つとカメラ1台で、周囲360度すべての景色を一度に撮影できるという優れものです。

この全方位レンズをデジタルカメラに取り付けて、写真を撮ってみました。


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これが全方位レンズです。ガラス筒の中に三角錐のようなミラーが入っています。周囲の風景がミラーによって集められ、反射された像がガラス筒の一端に届くという仕組みです。ガラス筒の中央を通るニードル状の黒棒は虚像を打ち消すためのものらしいです。


omnidirect2.jpg使用したデジタルカメラはCanon Powershot G2です。私にとって2台目に購入したコンパクトデジカメで、フィンランドに住んでいたときに大活躍したカメラでもあります。氷点下30度にもなるフィンランドの冬、オーロラ撮影に持ち出したこともありましたが、故障ひとつせずに頑張ってくれました。

そんな愛着のあるカメラですが、すでに現役引退。そこで今回、全方位レンズ専用カメラとして生まれ変わってもらうことにしました。

とは言いましても、カメラ本体には加工不要です。Powershot G2にフィルタを取り付けるためのアダプタチューブ、さらに52mmから37mmへのステップダウンリングを取り付けてから、Cマウントの全方位レンズをねじ込みました。


omnidirect1.jpg出来上がりはこのような感じになります。少しかさばりますが、仕方ありません。


以下、試し撮りしてみた写真を何枚かご紹介します。

omnidirect_ex3.jpg 全方位レンズの周囲360度が写されますので、自分の周りの風景を撮ろうと思うと、カメラ本体を上に向けて、レンズが立つ格好にしなければなりません。カメラを胸の前に抱えていたのでは自分自身が写り込みますので、頭上に掲げるという、なんとも妙な格好で撮影することになります。そんな努力をしても、自分の手の指が写り込んでしまいました。


omnidirect_ex4.jpgそこで、停めてあった原付バイクのシートにカメラを置き、セルフタイマーをセットして撮影してみました。タイマーがカウントダウンしている間に遠くへ走り逃げるか物陰に身を隠すかしなければ、間抜けな自分の姿が写ってしまいます。なんとも骨の折れる撮影です。


omnidirect_ex7.jpgいっそのこと自分を写真の一部にしてしまう方がよいのかもしれません。


omnidirect_ex8.jpgこちらはサクラの木の枝の分かれ目に危なっかしくカメラを置いて撮影したもの。


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ふかふかのシロツメクサが生えていましたので、こんなところでも撮影。


omnidirect_ex2.jpgこちらは近所の神社です。セルフタイマーで撮影中、私は手前の木の陰に隠れていました。通りすがりの人からは、変な人と思われていたかも...


omnidirect_ex5.jpgこちらは公園の中で撮影。


omnidirect_ex6.jpgベランダから夜景を撮ってみました。無謀にも手持ち撮影です。


omnidirect_ex11.jpg下方に写り込んでいるのは野良猫です。セルフタイマーで撮影していましたら、その間に好奇心の強い猫が寄って来て、レンズをなめていました。


ご紹介しました全方位レンズによる写真はたいへんに歪んでいます。実は、これを画像処理によって1枚のパノラマ写真のようにしてしまうソフトウェアもあるようです。個々の画素データをレンズの特性に応じて座標変換してやればよいだけの話です。

全方位レンズを防犯カメラとして使っている場合や不動産屋さんが部屋の間取りを360度見せたい場合などは、座標変換してパノラマ写真にしてしまう方が見やすくなるでしょう。でも、写真としてレンズの面白さを味わうのであれば、このままの方がいいように思います。

以前、全方位レンズで撮影した写真を紹介するブログを書いていました。途中で更新が止まっていますけれど...
ドーナツ フォト サイト

全方位カメラを使った視覚センサシステム、内視鏡、パノラマ動画像処理などについて書かれた書籍が出版されているようです。
まるまる!全方位カメラシステム

こちらはロボットによるサッカー競技RoboCupなどでも使われているロボット用の全方位カメラシステムです。

全方位レンズを使った監視カメラシステムも売られています。

いずれもかなりお高いですが...

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